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第18話 同族会社の株式の持ち方 譲りすぎに注意!

本日のお客様 旅館業を営む社長

息子さんに株を譲りたいというご相談です

 

いらっしゃいませ。今日はお車ですか?お疲れ様でした。

そうなんです。東京は駐車代が高くて・・早々に本題に入りましょう!

息子さんへの株の移動の件ですね。前期の改修工事で株価が下がったので、今のうちに息子さんに譲渡したいと。税理士の先生に株の評価をして頂いたんですね。

今は事業承継に係る親子間の株の贈与はしやすくなりましたから。

で、どのくらい移したいのですか?そんなに?ふむ・・・。

社長は事業承継をいつ頃なさるご予定ですか?息子さんは既に旅館経営に携わっていますから当然後を継ぐお積りとは思いますが、でもまだ28歳独身。あまり多くの株式を譲るのは・・。いえいえ、ダメだというのではなくて慎重にと申し上げています。

大手経営の旅館と違って、社長の旅館は家業です。代々お子さんが引き継いで今日まで。旅館業界の大変な時期も何とか乗り越えてきました。

奥様も女将さんとして本当に頑張っていらっしゃる。お客様も女将さんフアンが多いですよね。そしてまた新しい代に引き継いでいく。素敵なことだと思います。

その家業としての経営を守るためにもここは慎重にいきたいのです。

如何に家業と言えども御社も株式会社です。もしもですよ!息子さんが見初めたお相手が「旅館の女将さんはイヤ。お手伝いはできません!」という人だったとしましょうか。ゆっ!許さないって言ってもね~。好きになってしまうとね~。

たとえ話ですが。もしですよ!もし万が一、息子さんに何かあったら、その奥様は当然相続人となります。お子さんがいれば全ての財産が相続されます。

はっ!としましたね!!そうなんですよ。

もしもの話で嫌なことを申し上げましたが、過去にそれで苦労した例があるもので。

息子さんに自覚を持っていただくために株を持たせるのはとても良いことだと思います。ただ株数については、段階的に様子を見ながら、また一緒に考えましょう!

 

今回の肝

会社は誰のものか?そんな問いかけが良くありますね。従業員のものだとか社会全体のものだとか色々書いてありますが、法律的にはやはり株主のものということになります。株式の譲渡制限を設けるなどして株主を守ることで会社の存続も守っているのだと思います。ですが相続が起きたときは株は株主個人の相続財産です。誰が相続するのかによっては問題になることも。同族会社だからと言っても安心はできません。

株の承継も経営者の難しい判断の一つですね。