studioM

第1話 手取り額で給与支給額を約束してはいけませんの話

本日のお客様は工務店の社長

腕のいい職人さんを探していたのですが・・・

 

いらっしゃいませ。先日はごちそうさまでした。

おでん美味しかった~!焼酎のつゆ割も最高でしたね!

それで、あれから経験者の人材は見つかりましたか?

それは良かったです。おいくつぐらいの方ですか?40代ですか。

良かったですね。経験は?そうですか。まずまずですね。

とりあえずは、試用期間を設けて腕前を確認してから正式な契約をしてくださいね。

えっ!もう契約してしまったのですか?あっそうじゃないんですね。

えっ!給料を決めてしまったんですか?ええっ!!しかも手取り金額をですか?!!!

社長!!ダメダメダメです!!!

給与を手取りで約束するのは絶対いけません!

例えば 手取り30万円を約束したとします。Aさん40歳の1月分の通勤交通費が7千円だと仮定すると、社会保険料と源泉所得税を控除するとして・・・・・

給料額面を366,000円にしてようやく300,277円の手取りです。これに加えて会社が社会保険料を半分負担するわけですから、トータル42万円以上の人件費負担になります!

社会保険所得税は変化しますし、もしAさんが遠くに引っ越しをしたら通勤交通費が増えてまた社会保険料が上がって、1年たったら住民税だって控除することになって、そして控除する金額が増えるたびに、手取り額を合わせていたら給与額面はどんどん上がってしまって、額面を上げれば、また社会保険料が上がって・・・・もうきりがないんです!

ご理解いただけましたか?あ~良かったです。

そうですね~困りましたね~。でもここはちゃんと話をしましょう。Aさんも給料計算の複雑な仕組みを知らずに希望をおっしゃっているのだと思います。きちんと説明すれば理解してくださるかも。もう一度改めて話をしてみてください。私から説明してもいいですよ。それでも、「どうしても!」と言うようであれば、社長!今回の件は白紙です。

 

今回の肝

給料の設定は特に慎重にしなくてはいけません。手取り額で約束することは後でとんでもないことになります。

昇給やボーナス支給、退職金の設定も同じです。「払ってあげたい」とか「頑張ったから」とかその場の感情で決めてはいけません。従業員同士のトラブルを招くことにもなります。

経営者の責任として気を付けてください。