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第20話 会社経営のアイテムの一つとして契約する保険を考える

本日のお客様 製造業を営む社長

税理士に保険の加入を薦められているというご相談です。

 

社長おはようございます!忘年会すっかりご馳走になってありがとうございました!

やっぱりみんなでつつく鍋は最高ですね!ひれ酒も美味しかった~!

本日は税理士の先生に薦められている保険の件ですね。設計書を拝見いたします。

ふむ。保険会社もランクが高いですし内容も悪く無いですよ!社長は何が心配ですか?

保険そのものがあまり好きではないのですね。難しいし、面倒だと。

それはよくわかります!個人で加入する特約のいっぱい付いた契約などは本当にわかりづらいですよね。特約の方が主契約より支払い保険料が高かったり、そのくせ特約だけ先に満期終了してしまったり。後から「えっ!」て思うことありますよね。

でも社長。今回先生が薦めている保険はそもそもの趣旨がちょっと違います。

具体的に設計書で説明しますね。

まず、契約者が法人で被保険者が社長です。保険の種類は長期定期。掛け金の半分が経費です。定期保険ですから保険自体はとてもシンプルです。一定の期間だけ保証される保険です。今回の保険期間は社長が99歳になるまで。そしてこの保険期間中に社長が死亡した場合には会社に3000万円の保険金が入ります。

簡単に言えばそれだけのことです。重要なのはこの保険に加入する目的です。

一つは、社長に万が一のことがあった場合、会社運営の当面の資金繰りを助けるため。

もう一つは、半分が経費となるということです。利益が出ている会社が経費を求める場合、支払っても後から戻ってくるような経費は保険だけですね。ちなみに残り半分は資産計上です。

次がこの保険の最大の特徴ですが、解約返戻金がある。掛け捨て保険では無いということです。設計書の中に解約返戻金の推移表があります。社長が何歳の時に解約すると幾ら戻るか。そして解約金はいままで掛けてきた保険料の何%に当たるか。これが返礼率です。この表を見ますと加入から10年のところから返礼率が80%を超えてきます。社長が62歳から70歳の時に90%以上になります。これがこの保険に加入するもう一つの目的です。

  1. 経営上必要となった時の資金に充てる
    いざというときに解約して資金に充てます。
    もしくは契約者貸付を受けることもできます。急な資金が必要になったとき、その時点の返戻金額の60%~70%程が電話1本で借りられます。(利息は掛かります)
  2. 保険を掛け続けることが難しくなった場合
    「解約する」以外にも、「今後の支払いを止めて、払い済みとする」この場合その時の解約返戻金をもとに、終身保険に切り替えて必要になるまで運用しておくこともできます。
  3.  役員の退職金に充てる
    従業員の退職金は準備しても、役員の退職金の準備は中々できていない会社が多いです。功労者である役員ご引退の際、会社に大きな負担を掛けずに退職金を支払うことができます。

簡単ですが、要するに会社の運営のために社長のお身体を借りて加入する保険。

会社経営上のアイテムの一つとしてお考え下さい。

 

今回の肝

会社契約で加入する保険は、会社経営にメリットが無ければいけません。

注意する点をいくつか

  1. 契約内容と契約期間がニーズに合っているか
  2. 掛け金や払い方に無理はないか
  3. 解約返戻金のピークの時期はニーズに合っているか
  4. 解約金の返礼率は低すぎないか

よくあるのは「今年は利益が出たから節税のために保険に入りたい」と掛け金の高い保険に加入して、3年目には払えなくなり解約。継続できない保険加入は会社経営に損害を与えます。また、半分が経費ということは解約等をした際、返礼される金額の半分は雑収入となります。経営状況を見極めて判断してください。