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第9話 中小企業の経営者の喜びに触れた話

本日のお客様 運輸会社社長と従業員

長く働いてくれた従業員が故郷へ帰ることになりました。

 

いらっしゃいませ!○○さん退職なさるんですって?えっお父様が。それでご実家に戻られるのですね。社長も残念ですね。でも仕方ありませんね~。

えっ。そうなんですか?!では、○○運輸株式会社の姉妹店としてご実家で運送会社を設立させたいということですね!やだ社長!!良かったじゃないですか!

地元に根付くまでは、お仕事も回して下さるんですね。やだ社長!素敵!!

はい。了解いたしました。細かいことは○○さんと話します。お任せくださいませ。

まきちゃん!社長お帰りで~す!

そうですか良かったですね。○○さんなら大丈夫!ホントホント!!

それで、ご実家の住所で会社登記していいのですね。会社名は決めたのですか?えっ○○運輸!?社名も引き継ぐんですね!それ社長もご存じ?喜んだでしょう!!

で当面はお一人でやられるんですか?後輩が手伝ってくれるんですね。いいですね。車は?お父様が使っていらした軽トラと、中古の2トン車を社長が退職金代わりにくださるんですか?く~~!!素敵。

資本金は300万円ですね。○○さんの貯金とお母様からのご支援ですね。

了解いたしました。役員は○○さんお一人でいいですか?えっ社長に断られた。余計な役員をぶら下げるなって!もう社長ったら本当に素敵! 

○○さん。会社を設立したら○○さんも経営者です。今まで考えてもいなかった、出来事にぶつかることも沢山あると思います。そんな時は社長の背中を思い出してくださいね。沢山の苦労を背負ってきた背中です。中小企業の社長の苦労が染みついた背中です。

でもね、今日の社長は嬉しそうだったな!!今までの苦労が吹っ飛んだような素敵な笑顔でした。これって中小企業の社長にしか味わえない醍醐味なんだとつくづく思いました。

○○さん!頑張りましょうね!応援します。

退職前に、社長とあの焼き鳥屋さん行きましょうね!私ご馳走しますから!!!

 

今回の肝

中小企業の経営者は本当に苦労ばかりです。資金繰りや労働問題。悩みが尽きないのです。

そんな中で、経営者の方が嬉しそうに話して下さるのは従業員のことです。

結婚の仲人を頼まれたとか、家を買うのにローンが組めたとか、子供が生まれたとか

自分の家族のことのように話して下さるとき、それは私の至福の時です。